村杉半島
猿倉山 横山

日程2026年03月28日~30日
メンバー相川(L)、藤巻、大庭、衣川、中澤 慧 (計5名)
ルート田子倉湖~高石沢遠見ノ沢左岸尾根~猿倉山~北東面滑走~横山~大巻ノ曽根~田子倉湖
タイム3/28 冬期ゲート(8:15)-若宮神社(9:15/10:20)-白戸川バックウォーター(11:50/12:20)-尾根取り付き(13:30)-Co915m(16:15)
合計8時間
3/29
C1(6:00)-猿倉山(10:10)-BC(12:30/13:25)-Co1290m(15:15)
合計9時間15分
3/30 C2(5:10)-横山(6:25)-大巻沢バックウォーター(11:00/11:40)-若宮神社(13:25/13:50)-冬期ゲート(14:25)
合計9時間15分

大庭さんから数年ぶりに山行のお誘い。「3月に藤巻、相川、大庭、衣川でskirafting」とのことで、面白そうなので参加させてもらうことにした。

大庭さんは以前所属していた山岳会の先輩で、私を雪山に初めて連れてってくれたり、山道具屋で冬山の装備を案内をしてくれたりと、登山を始めたばかりの頃にたいへんお世話になった。

藤巻さんも以前所属していた山岳会の先輩だが、一緒に山は行ったことはない。『外道クライマー』に登場する生き残り系クライマー。相川さんとの”総合系”の山をよくやっている。2015年8月の村杉半島での沢登りと組み合わせた山行に影響を強く受けた(『山と溪谷』No.969 2016年1月号、高濱康弘と)。

相川さんはオールラウンダー山ヤで”遊びの天才”。私が初心者の頃に増水した栗代川で実は会っている。当時の私としては実力以上の沢で、さらに増水していて余裕がなく、非常に厳しかった。ゴルジュ内に放置したヘルメットを回収して郵送していただいた。

衣川さんは旅系の長期山行、サバイバル登山、さらに狩猟をしていて、いつも渋い山をやっている。服部文祥や角幡唯介をよく読んでいる若手山ヤ。

村杉半島でのski raftingは
・2022年 会越横断(中澤、『岳人』No.658 2022年8月号)
・2025年 奥利根~会津の縦断(相川、藤巻、大庭、『ROCK&SNOW』109号)
があり、今回はそのメンバーが合流して遊ぶことになった。

大庭さん以外は、初めて山に一緒に行くが、記録でなんとなく知っているし、行程もゆるいので特に不安は無かった。

1日目 (3/28)

今シーズン3度目、4日ぶりの只見町。南魚沼からだとマジで遠い。集合して挨拶を済ませて出発。硬めの雪を登って車道をショートカット。準備して出艇する。退屈なパドリングも話してるとマシだ。途中で私のブレードが外れて焦る。ダムの減水がひどくて座礁したりしながら、高石沢よりかなり手前で舟を降りる。

田子倉湖を進む。奥に高倉山が見えている。

尾根の取り付きまでパックラフトとスキーを担いで白戸川を遡行することになる。普通の川じゃなくてダムが減水してできた川なので岸が泥沼。足を持ってかれて抜けなくやったり、水勢も強く苦労した。

パックラフトとスキーを担いで白戸川を遡行していく。
尾根の取り付きまで苦労した。ここまでパックラフトで来れると思っていた。

尾根はシールで登っていくも、藪区間もあったりでシートラを交えつつ登っていく。猿倉山が見える絶好の位置で幕営。

細尾根は雪切れもあってシートらも交える
背後の山々が黒い

2日目 (3/29)

2日目は空荷で周回の予定。夜間も暖かく、朝から雪はグサグサ。高度をあげると猿倉山が美しい。
頚城の北面台地のようで、アクセスさえよければ人気だろう。

白い猿倉山

ルート取りで意見が分かれたりして、やや時間を要したが、猿倉山直下へ。ここは3年前の6月に泊まったのが懐かしい。私は、夏に踏んでいなかった西峰も踏んでおきたかったので、ツボで登って写真を撮る。ダムが減水しすぎていて西側も只見川が出現していた。

西峰から本峰を見る。奥に会津朝日岳~高倉山。

一通り景色を楽しんだら本峰へ登る。「孤高のカンバ」をまた見ることができたのが嬉しかった。猿倉山の西峰直下にあり、夏に来たときは光の当たり方でひときわ輝いていたので、よく覚えている。

孤高のカンバ
夏の孤高のカンバ。輝いている。

本当に秘境の山頂だ。半島の主峰である村杉岳が遠くに見える。雪はけっこう落ちていて、あと1ヶ月早く訪れればもっと自由に遊べそうである。いつか滑りたいと考えている猿倉山南壁の雪はゴッソリと落ちていた。南壁の上部は傾斜がそこまで強くなく、核心の中部〜下部の様子はあまり見えなかった。夏に登っていて、難しくは無いが、Ⅲ〜Ⅲ+はあり、傾斜は強く気の抜けないスラブだった。南会津屈指のスティープラインだが、厳冬期のこの場所に、滑れる条件のとき立っているのは、それだけで奇跡だろう。

大川猿倉山と村杉岳
3年前に登った南壁

山頂で滑走準備をして相川さんから滑り出す。はじめてテレマーカーの人と滑ったが格好いい。

山頂から滑る。skier:相川

個人的にはスキーヤーズライトの谷を落としたかったが、人数や雪の状態、登り返しも考慮して、スキーヤーズレフトからブナの疎林の方へ行く。初対面でラインも相談しながらだったので、短くピッチを切った。なるべく止まらずに滑りたいなんて昔の私なら思いもしなかったので、ここ2年くらいで嗜好が滑り寄りになってきた。デロデロの雪で湿雪雪崩がでまくる。速度は遅いので足元を取られないようにして高石沢本流まで。

シールを貼ったら登り返し。雪切れもなく登りやすかった。途中で乾燥したヒラタケを見つけてウィペットで収穫。一口だけ食べて、怖くなりやめておいた。(相川さんは収穫して夜に食べていた。)

高石沢に降り立ち、登り返す。

あとは幕営したベースキャンプまで戻る。まだ昼過ぎだったので撤収して幕営地をあげる。天気が良すぎて暑さが辛かった。衣川さんは休憩のたびに本を読んでいた。私は、本をぶつ切りで読むと内容が頭に入ってこないので、この能力は羨ましい。

休憩中に読んでる。(『エスキモーになった日本人』大島育雄)

ここでキャンプをあげたのは大きい。明日の行動に余裕が生まれた。

レイクビューのC2
玄関が豪華なイグルー。

藤巻さんはキャンプ地をロケーション(写真映え)で選んでここにしたので、周りに木がない。スキーをアンカーにしてタープとツェルトを設営。大庭さんはせっせと水を大量に作ってくれた。イグルーチームは豪華なイグルーを建設。私は夕暮れの撮影をするために稜線まで散歩。

薄ら染まる猿倉山
横山

稜線からは毛猛が近くに見えた。

毛猛山へ夕陽が沈む。

3日目 (3/30)

明るくなるのと同時に出発。横山の手前でアイゼンに切り替えた。

ぼんやりと日の出。染まらなかった。

西側に目をやると只見川が流れている。普通の川ならいいが、ダム底の川だ。初日の白戸川のような泥沼だとかなり厄介なので、西尾根を滑るのをやめて北上して静水になっているところを狙う計画に変更する。西尾根は素晴らしいブナの森で滑走向きだ。しかし、登りで使ったことがあるので、知らない場所に行けるルート変更はうれしかった。

稜線から西側を見ると只見川が出現していた
毛猛山東面、前沢。

毛猛山東面の前沢は素晴らしいバーンだが、下部が繋がっていない。あと1ヶ月ほど時期を早める必要がありそうだ。ほどなくして横山に到達。相川さん達は1年以内にここに2度も来ている。

横山と前毛猛山
田子倉湖と霧の只見町

雪は終わっていて、とんでもないモナカ。相川さんのルート判断で東面をトラバースしていく。東面は緩んできてデロデロ。このトラバースがうまく行ってCo1000m近くまでスキーで巻くことができた。私なら雪切れなどを考慮して、稜線歩きを選択していた。というか、横山のピークも踏んだので東面の岡沢からさっさと降りてしまっていたと思う。(東面の白沢は私が、井出沢は相川さん達が既に滑っている)

雪付きの悪い稜線をトラバースして巻いていく。
ここまで巻いてきた。奥に鉄塔が見える。

このあたりにかつて雨量観測所があり、岡沢左岸尾根に道があったという。微妙な踏み跡をたどり藪を漕いでいく。少しの藪漕ぎをして大巻ノ曽根(大巻沢左岸尾根)へルートを取る。

ヤブを漕いで稜線を移動
ザックにはパックラフトとスキー

北の末端まで行きたい気持ちもあったが、大巻ノ曽根の北面には相川さんの予想通り雪がついていた。私は標高的に雪は落ちてると思っていたので、この読みはさすがだ。単独ではこのルート取りには決してならなかった。結果的にベストなラインだったと思う。私もまだまだ地形の読み込みが甘いと感じた。

田子倉湖へ向けて滑り込む
ギリギリまで雪を繋ぐことができた

大巻ノ曽根は急だが、鉄塔と巡視路がありスムーズに標高を落とした。最後に板を履いて田子倉湖へ向けて滑走。本当にギリギリまで雪を繋ぐ見事なルーファイで、早い時間に降りてこれた。

パックラフトを膨らませて田子倉湖へ

出艇場所も素晴らしかった。あとはパックラフトを膨らませて、のんびりと田子倉湖を横断して下山した。

特別な場所

4年前に毛猛山から繋いだときのような「本当に行けるのか?」という緊張や不安、高揚感は全くなく、寂しくもあった。あたりまえだが、初期衝動のあの体験はもうできない。オンサイトだから興奮した。田子倉湖は静水だし、難しいことはない(それでも白戸川遡行は面倒だった)。知っているタクティクスをこなす。
けれど、この場所は私にとって特別だし、村杉半島が素晴らしい山であることは何も変わっていなかった。
夏の南壁に続いて、二度目の猿倉山で、村杉半島がだんだんと馴染んできた。
きっとまた来よう。

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