新潮文庫から出ている『山は輝いていた 登る表現者たち十三人の断章』の中で衝撃的だったのが、中嶋正宏「遺稿」だ。25歳という若さで亡くなった彼の内面を記した文章が収録されている『完結された青春』はプレ値がついていて、Amazonではなんと¥38,537。
さすがに買えないでいたが、なんと昨年から国会図書館デジタルコレクションで公開になっていた。
文章は、焦燥と思想が剥き出しの形で現れている。読んでいると胸の奥を掴まれるようで、息苦しくなる。
climbingは手段、目的は充実感。充実感は発展、創造「自分自身の」と自負できるオリジナリティー。
——中嶋正宏 『完結された青春』山と渓谷社、1989年
実力をつけねば、強くならねば、大きくならねば、という強迫観念。
変化することに対する恐怖、変化しないことに対する恐怖、前者は生物の本能だし、後者は人間の本能だ。変化することは、違和感、不快感、苦痛を伴う。しかし、同様に変化しないことも苦痛だ。権力意志に反する。